学校長挨拶
2023年4月 理事長・校長 井上和彦
すでに3年以上を経過したコロナ禍もようやくその出口が見え始め、学校も以前の日常を取り戻しつつあります。一方、ロシアによるウクライナ侵攻という20世紀の悲惨な大戦を想起させるような事態を初め、日本を取り巻く国際情勢もその厳しさを増しています。こういった社会・世界情勢が本校の生徒たちや保護者の方々の日々の生活にどのような影響を及ぼしているかについて、様々なメディアで語られる情勢からの推測を含めて確固たる考えを示すことのできないことにもどかしさを覚えるところです。
けれども若い人たちと日々接する中で感じることは、一人一人がそれぞれの夢や目標を持つことで輝き、それぞれの未来を開いていける可能性を持っているのだということです。
しっかりとした判断力をもって行動していける力と未来への可能性を、私たち教員と生徒一人一人との関係の中で、同時に生徒どうしの関係の中で培い大きく開かせていくことは、私たちに課せられた大きな課題であると思います。
さて、今年度は4年ぶりに制限のない入学式を行うことができました。一新された制服を身に付けた新入生が入場してくる姿に大きな喜びと安堵感を覚えました。今年度は様々な学校行事や部活動の公式戦等も本来の形で実施されることになるでしょうが、これまでのコロナ禍における部活動であっても、本校の部活動における活躍は素晴らしいものがありました。一昨年度夏の甲子園での決勝開催となった全国高等学校女子硬式野球選手権大会で見事優勝した女子硬式野球部は、昨年度夏のユース選手権大会と今春決勝が東京ドームで行われた全国高等学校女子硬式野球選抜大会で連続優勝を成し遂げました。また、バレーボール部は昨年の国民体育大会にビーチバレーチームが出場し4位入賞を果たしました。今年度制限のなくなった大会でのさらに多くの部活動が活躍されるよう願っています。
さらに昨年度も進学,就職ともに前年に勝るとも劣らない成果を上げています。進学では国公立大、有名私大への合格実績はもとより、就職においても最終的に100%の内定を得るなど、生徒たちは努力を重ねてくれました。このことも高く評価したいと思います。
世の中が元の日常に戻りつつある中、穏やかな中にも若い活気に満ちた本来の学園の光景が見られるようになってきていますが、3年生の皆さんにとっては、いわば卒業後の人生を大きく左右することにもなる、進路決定の大切な最終学年です。進路ガイダンスや進学説明会などの進路決定のための取り組みも4月から順に実施されていきます。さらに各部活動においては、3年間の集大成とでも言うべき全国高校総体や全国高校野球選手権、全国高校総文等が間近に迫っています。生徒たちには日々の鍛錬を怠ることなく、勉学との両立がはかられることを期待しています。
さて、今年度本校は男女共学化10年目を迎えました。今年度の女子の入学生は新入生の3分の1を超えました。地域の中学校や保護者の皆様方からの要請に応え、一つずつ実績を積み上げてきたことへの自負、多様な生徒を受け入れ育てていくことへの教職員の一致した意欲と熱意がなければ、ここに至る変化はなかったことと思います。生徒一人一人が若い活力に満ちた毎日を送ることのできる、そういった学校を創り出したいという、男女共学化に込めた思いがより一層目に見える形で実現・深化しつつあります。
さらに、昨年度・今年度と新しく変化したことがあります。第一にコース名が変わりました。特進文理は特進コース、総合進学は進学コース、総合教育は総合コース、体育特選は体育コースとそれぞれ単純化し、卒業後の進路と教育内容の違いを分かりやすくしました。第二に昨年7月にオーストラリアのクイーンズランド州立オルモーウッズ・ハイスクールと姉妹提携を結び、進学コースでは昨年5月よりON-LINEによる合同授業が始まりました。まだ月1回のペースですが、日本語と英語を交えた会話形式の授業です。今後さらに拡大し、近い将来に交互の語学研修を行う方向で取り組みを進めています。新1年生
の進学コースではオーストラリアへの短期留学をまずは希望者を対象に実施すべく準備を進めています。第三に昨年度より定期考査の成績が芳しくなかった生徒を対象に5教科の7校時指名補習を始めました。学力の底上げがその狙いです。第四に探究学習は12種類のプログラムを用意し1年生よりその取り組みが始まり軌道に乗りつつあります。そして第五に今年度より制服を一新されました。学生服とセーラー服であったものをブレザーに変更、ジェンダーフリーへの対応にも配慮したものになり、受験生に対するアンケートでも高評価を得ています。
このような様々な変化を創り出しながら、常に掲げてきました“どの生徒にも居場所のある学校”の具体化をさらに進めていきたいと思っています。神戸弘陵の明日にご期待ください。