​学校長挨拶

2022年6月                   理事長・校長 井上和彦

 

 すでに2年以上を経過した新型コロナの感染拡大は、第6波がようやく収束に向かいつつあるのではないかという状況分析が広まっています。一方、ロシアによるウクライナ侵攻という20世紀の悲惨な大戦を想起させるような事態が続く世界情勢の中で、日本の国家としての在り方について、客観的な分析はともかく、勇ましい言説がメディアで流布されている現状は、私のような子供のころ戦争での恐ろしい体験を親から直接聞かされた者にとっては、いたたまれない思いを抱かせるものです。こういった社会・世界情勢が本校の生徒たちや保護者の方々の日々の生活にどのような影響を及ぼしているかについて、推測の域を出ないことに至らなさを覚えるばかりです。

 けれども若い人たちと日々接する中で感じることは、一人一人がそれぞれの夢や目標を持つことで輝き、それぞれの未来を開いていける可能性を持っているのだということです。

これからの世の中がどのように変化していくとしても、周りに流されることなくしっかりとした判断力をもって行動していける力と未来への可能性を、私たち教員と生徒一人一人との関係の中で、同時に生徒どうしの関係の中で培い大きく開かせていくことは、私たちに課せられた大きな課題であると思います。

 さて、昨年度も新型コロナの影響により、多くの学校行事が様々な制約のなかで実施されました。高校生活最大の行事である修学旅行は行き先を沖縄に変更、2泊3日と短縮しての実施でした。平和学習を初めとしてタクシーでの班別行動や、最終日には那覇市内自由行動など、短いながらも充実した修学旅行となりました。体育祭については半日開催、文化部発表の場を動画配信で行った文化祭など、様々な学校行事を縮小した規模ながら、なんとか実施することができました。今年度こそ、本来の形での学校行事を行えることを願っています。また、部活動においても、昨年度は女子硬式野球部が史上初の甲子園での決勝開催となった全国高等学校女子硬式野球選手権大会で見事優勝したことを初めとして、多くの部活動がコロナ禍での制限の中、日頃の練習の成果を発揮してくれました。さらに進学,就職ともに前年に勝るとも劣らない成果を上げています。進学では国公立大、有名私大への合格実績はもとより、就職においても学校紹介で100%の内定を得るなど、多くの制約のある学校生活の中でも、生徒たちは努力を重ねてくれました。このことは高く評価したいと思います。

 今年度もスタートから早2カ月以上が過ぎました。入学式は元の1部に戻し、4月には

早速校外学習を実施、新入生の部活動入部率は例年に比べても高く、コロナ感染対策を除けば、穏やかな中にも若い活気に満ちたいつもの学園の光景が見られるようになってきています。一方、3年生の皆さんにとっては、いわば卒業後の人生を大きく左右することにもなる、進路決定の大切な最終学年です。進路ガイダンスも4月に第1回を実施、6月末には第2回目が実施の予定です。何かと制約のある中でも、万全の指導体制を整えていくことが私たちの大きな責務です。さらに各部活動においては、3年間の集大成とでも言うべき全国高校総体や全国高校野球選手権、全国高校総文等が予定通り開催されることを願いつつ、生徒たちには日々の鍛錬を怠ることなく、勉学との両立がはかられることを期待しています。

 

 さて、今年度本校は3学年全クラスが男女共学となりました。地域の中学校や保護者の皆様方からの要請に応え、一つずつ実績を積み上げてきたことへの自負、多様な生徒を受け入れ育てていくことへの教職員の一致した意欲と熱意がなければ、ここに至る変化はなかったことと思います。生徒一人一人が若い活力に満ちた毎日を送ることのできる、そういった学校を創り出したいという、男女共学化に込めた思いがより一層目に見える形で実現・深化しつつあります。

 さらに、今年度・来年度と新しい変化を起こします。第一にコース名が変わります。特進文理は特進コース、総合進学は進学コース、総合教育は総合コース、体育特選は体育コースとそれぞれ単純化し、卒業後の進路と教育内容の違いを分かりやすくします。第二に今年度よりオーストラリアのクイーンズランド州立オルモーウッズ・ハイスクールと姉妹提携を結び、進学コースでは5月よりON-LINEにより合同授業が始まりました。まだ月1回のペースですが、日本語と英語を交えた会話形式の授業です。今後さらに拡大し、近い将来に交互の語学研修を行う方向で取り組みを進めています。第三に今年度より5教科の7校時指名補習を始めました。学力の底上げがその狙いです。第四に探究学習は12種類ものプログラムを用意し1年生よりその取り組みが始まりました。そして第五に来年度より制服を一新します。学生服とセーラー服であったものをブレザーに変更、ジェンダーフリーへの対応にも配慮したものになります。学校案内やポスターをご覧ください。

 このような様々な変化を創り出しながら、常に掲げてきました“どの生徒にも居場所のある学校”の具体化をさらに進めていきたいと思っています。神戸弘陵の明日にご期待ください。